外部資料から自分の考えまでを、3つのレイヤに分ける

シリーズ「Obsidianの情報設計」の記事

書籍や記事から得た情報をObsidianへ残すとき、要約、自分の考え、そこから作った手順を一つの読書メモへ書き足すと、そのノートが何を表しているのか判断しにくくなります。

僕は、「読書の要約と、そこから生まれた自分の考えを分ける」で書いたように、外部資料の内容と自分の考えを別のノートへ置いています。さらに、その考えを繰り返し使える形へ整えたものも、別の役割として扱います。

この記事では、外部資料を起点にした記録を「素材」「思考」「派生した知識」の3レイヤへ分ける理由と、すべてのメモを機械的に分割しないための基準をまとめます。

まず全体像

外部資料から自分の考えと派生した知識へ分ける3レイヤ 要約・引用・出典を置く素材レイヤから、一つの焦点へ絞った自分の考えを置く思考レイヤを経て、再利用する実践知や体系化した理解を置く派生知識レイヤへ進む図 1. 素材 要約・引用 著者・URL・出典 外部資料の内容 2. 思考 自分の気づき・解釈 1ノート1焦点 Zettelとして残す 3. 派生した知識 再利用する手順 体系化した理解 繰り返し使える形 焦点化 整理 後のレイヤから、考えの元になったノートへリンクして戻れるようにする
情報が変わる向きは左から右です。すべての資料を3つへ分けるのではなく、独立した思考や再利用できる知識になった時点で次のレイヤへ切り出します。

僕のVault(Obsidianのノートをまとめる保管場所)では、3レイヤを次のように使い分けています。

素材レイヤには、外部資料の内容を残す

素材レイヤは、書籍、記事、動画、講演など、外部ソースの内容を残す場所です。著者の主張、要約、必要な範囲の引用、出典を置きます。

ここでは、自分が賛成しているかどうかより、元資料が何を述べているかをたどれることを優先します。あとで自分の考えが変わっても、資料の内容まで書き換えません。

要約へ短い感想を添えることはあります。ただし、その感想を単独で考え直すほどの焦点がなければ、別のZettelにはしません。

思考レイヤには、自分の考えを一つの焦点で残す

外部資料を読んで、自分なりの気づきや解釈が一つの主張として独立したら、思考レイヤへ切り出します。僕のVaultでは、これを1ノート1焦点のZettelとして残しています。

一冊の本から複数の考えが生まれれば、Zettelも複数になります。逆に、一つの考えが複数の資料から育った場合は、そのZettelから複数の外部資料ノートへリンクします。

Zettelへ元資料の要約をすべて複製することはしません。考えを理解するために必要な前提だけを書き、詳しい内容と出典は素材レイヤへ戻って確認できるようにします。

派生知識レイヤには、繰り返し使える形へ整えた内容を置く

自分の考えを、実際の作業で再利用する手順や、複数の知識をまとめた説明へ整えたものは、派生知識レイヤへ置きます。

例えば、ある技術記事を読んで自分なりの設計判断が生まれ、その判断を別の実装でも使える確認項目へ整理した場合です。確認項目は一度の読書についての感想ではなく、次の作業で使う実践知として扱います。

原理や構造を複数のノートからまとめ直した場合は、手順ではなく体系化した理解として残します。どちらも、考えの元になったZettelへリンクし、そのZettelから外部資料まで戻れるようにしています。

3レイヤへ機械的に分割しない

3レイヤは、すべての資料から3種類のノートを作るための手順ではありません。情報の役割が変わったときに、役割の違う内容を切り出すための境界です。

僕は、次のように判断しています。

  • 要約や引用が中心なら、素材レイヤにまとめる
  • 自分の考えが一つの焦点として独立したら、Zettelへ切り出す
  • 複数の場面で再利用する手順や説明になったら、派生知識へ移す

短い引用と一言の感想だけなら、素材レイヤの一つのノートで終わることもあります。自分の考えを残しても、再利用できる手順や体系へ育たなければ、思考レイヤまでで止まります。

置き場ではなく、何を独立して更新したいかで分ける

僕が3レイヤへ分ける理由は、それぞれを別のタイミングで更新するためです。

外部資料の要約は、読み直して理解が変わったときに直します。Zettelは、自分の考えを見直したときに更新します。派生した知識は、別の作業で使い、手順や説明を改善したときに変えます。

同じファイルに入れたままだと、一部を更新するたびに、資料の内容、自分の考え、再利用する知識の境界を判定し直します。僕は、別々に更新したい内容を別のレイヤへ置き、リンクで由来を残しています。

まとめ

僕は、外部資料から始まる記録を、素材、自分の思考、派生した知識の3レイヤで扱っています。要約や引用は素材として残し、独立した自分の考えはZettelへ、繰り返し使える手順や体系は派生知識へ置きます。

ただし、3種類のノートを作ること自体を目的にはしません。別々に更新したい内容が生まれた時点で切り出し、前のレイヤへリンクして由来をたどれるようにします。