Obsidianで情報の役割・主題・Zettelの派生を別軸にする

シリーズ「Obsidianの情報設計」の記事

僕はObsidianのVault(ノートの保管場所)を、自分の情報をためて整理する個人ナレッジベースとして使っています。外部資料、参照する知識、自分の考え、アイデア、計画などが一つのVaultへ増えるにつれ、役割の違うノートを管理しにくくなりました。

Zettelは、その中で自分の考えを1ノート1焦点で残す小さなノートです。僕はZettelも使いますが、Vault全体をZettelだけの置き場にはしていません。

ここで、情報の役割、ノートの主題、考えの派生関係を一つのフォルダ構成や番号で表そうとすると、どれか一つを変えたいだけなのに、ほかの意味まで変わってしまいます。

そこで僕は、第一階層で情報の役割を分けています。NDC(日本十進分類法)を参考にした分類番号で主題を表し、Zettelには階層IDを付けて考えの派生を表します。

この記事では、3つの軸が何を表すかと、ノートを動かすときに見直す軸をまとめます。Zettel IDを扱う自作プラグインの実装は別のシリーズとし、ここでは番号に持たせる意味だけを扱います。

まず全体像

Obsidianのノートを役割、主題、思考の派生という3軸で管理する図 役割はこの情報を何に使うか、主題は何について書いているか、思考の派生はどの考えから発展したかという別々の問いに答える。Zettel IDはZettelだけに付ける 1. 情報の役割 問い:この情報を何に使うか 第一階層:外部資料/参照知識/Zettel/アイデア/計画/成果物 置き場と、更新する目的を分ける 2. 主題 問い:何について書いているか NDCを参考にした分類番号 それぞれの役割の内側で、同じ主題を探す 3. 思考の派生 問い:どの考えから発展したか Zettel ID:1 → 1.a → 1.a.1 Zettelだけに付け、分類には使わない
3軸は三つのフォルダを作るという意味ではありません。役割、主題、思考の派生という別々の問いへ、別々の仕組みで答えます。

「ObsidianのVaultを、情報の役割ごとに構成する」では第一階層の置き場を、「外部資料から自分の考えまでを、3つのレイヤに分ける」では情報が役割を変える流れを扱いました。起点となったショート「NDCは主題、Zettel IDは考えの派生に使う」では、二つの番号を分ける結論を短く書いています。

この記事だけでも判断できるよう、ここから3軸を一つずつ説明します。

役割の軸は「この情報を何に使うか」に答える

僕はVaultの第一階層を、主題ではなく情報の役割で分けています。外部資料を確認する、事実や手順を参照する、自分の考えを育てる、計画を進める、成果物を外部へ届ける、といった使い方の違いです。

同じ技術について書かれたノートでも、記事の要約と、自分の設計判断と、次に試す計画では更新する目的が違います。第一階層を役割で分けておけば、何について書いたかに関係なく、次にどう使う情報なのかを置き場から判断できます。

Zettelは、この中で自分の考えを1ノート1焦点で残す役割です。Vault全体をZettelkastenとして扱うのではなく、外部資料や体系化した知識、アイデア、計画と並ぶ一つの置き場として扱います。

役割が変われば、第一階層の置き場も変えます。例えば、Zettelとして残した判断を、複数の作業で使える手順へ整理し直したなら、手順や実践知の置き場へ移せます。このとき変わるのは、まず情報の役割です。

主題の軸は「何について書いているか」に答える

役割の置き場だけでは、各場所に増えたノートを主題から探しにくくなります。そこで僕は、それぞれの役割の内側を、NDCを参考にした分類番号で分けています。

ここでいう分類番号は、日本十進分類法そのものをすべてのノートへ厳密に適用するものではありません。何について書かれたノートかを同じ基準で探せるように、NDCを参考にして僕のVault向けに使っている分類です。

役割と主題は組み合わせられます。例えば、同じ主題について外部資料、参照知識、Zettelがそれぞれ存在しても構いません。主題が同じだから同じ場所へまとめるのではなく、役割ごとの場所に置いたうえで、分類番号によって同じ主題を探せるようにします。

ノートの焦点が変わり、別の主題として扱う方が探しやすくなった場合は、分類番号を見直します。その変更だけで、そのノートが外部資料なのかZettelなのかまで変える必要はありません。

派生の軸は「どの考えから発展したか」に答える

Zettelには、主題とは別に、11.a1.a.1のような階層IDを付けています。1.a1から生まれた考え、1.a.11.aからさらに発展した考え、という関係を表します。

このZettel IDは、ノートを同じ主題へ集めるための分類番号ではありません。親子のZettelが同じ主題にとどまることもあれば、考えを発展させる途中で焦点が別の主題へ移ることもあります。派生関係が続いていても、分類番号は別に見直せます。

反対に、同じ主題について書いたZettel同士でも、一方がもう一方から生まれたのでなければ、親子のIDにはしません。内容が近いことと、考えが派生したことを同じ関係として扱わないためです。

Zettel IDを付けるのはZettelだけです。ノートを手順や体系化した知識など、別の役割へ移した場合、そのノートからZettel IDを外します。ただし、元の考えをたどる必要があれば、Zettelへのリンクは残せます。

3軸を分けると、変更する対象を選べる

3軸を分ける目的は、分類を細かくすることではありません。ノートを見直したときに、何が変わったのかを切り分けるためです。

起きた変化 見直す軸 変更するもの
ノートを使う目的が変わった 情報の役割 第一階層の置き場
ノートが扱う主題が変わった 主題 NDCを参考にした分類番号
どの考えから派生したかが変わった 思考の派生 Zettel ID

例えば、自分の考えとして残したZettelを、繰り返し使える確認手順へ整理した場合は、役割の置き場を変えます。書かれている主題が同じなら、分類番号まで変える必要はありません。Zettelではなくなるなら、そのノート自身のZettel IDは外します。

一方、Zettelとしての役割と親子関係はそのままで、考えの焦点だけが別の主題へ移った場合は、分類番号だけを見直せます。どの考えから派生したかを修正したい場合は、Zettel IDだけが対象です。

僕のVaultでは、変更があった軸だけを見直すようにしています。これにより、フォルダを動かしただけで思考のつながりまで変わったように見えることや、親子IDを変更しただけで主題まで変わったように見えることを避けやすくなりました。

僕なら、困っている軸から分ける

最初から第一階層、分類番号、階層IDをすべて用意する必要はありません。僕なら、まず今どの判断で迷っているかを確認します。

  • 外部資料と自分の考え、アイデアと計画などが混ざっているなら、役割の置き場を分ける
  • 同じ役割の中で主題から探せないなら、主題の分類を加える
  • Zettelが増えて、どの考えから発展したかをたどれないなら、派生関係を表すIDを加える

大切なのは、フォルダ名や番号の形式をまねることではなく、それぞれがどの問いに答えるかを決めることです。一つの番号へ複数の意味を持たせると、どの変更が必要なのか再び判断しにくくなります。

まとめ

僕のVaultでは、情報の役割、ノートの主題、Zettelの派生を別の軸として扱っています。第一階層は「この情報を何に使うか」、NDCを参考にした分類番号は「何について書いているか」、Zettel IDは「どの考えから発展したか」に答えます。

ZettelはVault全体ではなく、自分の考えを1ノート1焦点で残す役割の一つです。役割が変わったら置き場、主題が変わったら分類番号、考えの親子関係が変わったらZettel IDを見直します。僕は3軸を分け、変更があった軸だけを更新するようにしています。